2020年 05月 29日
軽井沢と言うと、いかにも金持ちと文化人に溢れる町と思われそうですが、所詮は信州の片隅の田舎町です。土日祭日は国道やスーパーの駐車場に高級外車がたくさん見られますが、町民の多くは軽自動車・軽トラ。目立つ車には乗りたがりません。本屋はガラガラどころか、しばらく前は数年のあいだ本屋のない町でした。15km先の隣町まで行かないと本が買えない。注文しても二週間かかることが多く、ほとんどネットで買うことになります。最近は、東京に出かけても電車内で本を読んでいる人は1割ぐらいしかいませんが、もともと電車通勤が少ない田舎ではほとんどの人は本を読みません。狭いゲージの中で与えられる人工飼料だけで育つブロイラーのように、テレビから決まった餌を与えられています。街を歩かない。自分から情報を探し求めることが少ないし、多様な人々や社会に接して刺激を受けることをむしろ避けて、周囲と同じであることで安心します。 日本中の田舎はどこも似たり寄ったりでしょう。目立つことをせずに、テレビの言うことに従い、自分は「フツー」であると信じ、フツーでない人を無視します。世の中がフツーに動いている間は、フツーでない人をわざわざ叩くような目立つことはしませんが、世間が騒がしくなると群れからはみ出さないように同調する焦りにかられるようです。恐怖心や嫌悪感が表に出てきて、同調圧力を強化するのですが、恐怖や嫌悪の対象を冷静に見定めることはなく、群れの中心へと頭を揃えて、恐怖や嫌悪の対象を後ろ足で外に蹴り出そうと、それもおたがいに隣に合わせて。噂が伝わるのもとても早いです。「隣は何する人ぞ?」の都会と違い、テレビが「国民一丸となって」「力を合わせて」などと言い出した時の恐ろしさは、田舎ではひしひしと感じられます。 こんな精神風土の中、COVID-19が静まりつつある状況で、首相もマスメディアも巷の井戸端会議でも、「日本人の衛生習慣が感染拡大を抑えた」「真面目な国民性が自粛をささえた」・・・「日本すばらしい」「奇跡の国ニッポン」のうような賛辞が溢れています。安倍首相の対策は人気がないようですので、そのうち「神風が吹いた」ということになるかもしれません。感染が少なかったのは、ほんとうに日本だけの現象なのでしょうか。最初の流行地中国では武漢・湖北省の感染爆発が報じられましたが、人口あたりの感染者数(感染率)を見ると、中国は日本より低く、さらにベトナムや台湾はまさに奇跡的な低さ。どこの国民が一番真面目か、なんて測定しようがないことに原因を求めても、いずれ手前味噌の議論になるでしょう。数年前の映像を中心に、中国・台湾の食を紹介するテレビ番組を100本以上YouTubeで見ましたが、食習慣や衛生習慣は地方様々。様々な生活を営んでいる東アジアですが、いくつかの例外もありながら、今回の感染症には強いようです。 感染拡大の初期から、BCG接種と感染には負の相関が見られると、医学界以外から指摘されていました。出身民族の遺伝的資質との関係を示唆するものもありました。最近では、風邪やインフルのコロナウィルスの仲間で、無症状かごく軽い症状のまま近年東アジアに流行したコロナウィルスによってすでに抗体を持っている可能性や、そのウィルスの突然変異で今回のパンデミックが起きたと想像するものもあります。話は外れますが、医学会では今も何の疑いもなく「人種」という言葉をつかい、「人種の違い」による感染リスクや重症化リスクの差を説明しようとする研究者が多く見られます。医療従事者やその家族を差別しないようにと声明が出ていて、全くその通りなのですが、医学が差別を生んできた過去の歴史に対する反省が弱いのも事実です。感染の収束は「日本人がすばらしい」からと言うのは、広く周囲の現実を見ず、他国に対する間違った優越意識により差別を助長するものです。 メカニズムの解明はワクチンや治療薬の開発には不可欠のものです。しかし一方で、メカニズムは不明でも患者の全体の状態を改善する漢方(中医)も効果が認められています。社会的現象としてのパンデミックであれば、社会全体を俯瞰して、様々な研究や議論が社会全体で起きている現象をどれだけ整合的に説明しうるか、メカニズムの合理性以前にマクロな視座からの検証が重要です。偏ったメンバーの専門家会議や批判力のないマスメディアには、全体の風景が見えていないようです。まして、対策による社会への影響など、医学者が医学者の立場で論じる問題ではなく、もし論じるなら一市民の立場にもどって話していただきたい。議事録さえ作らない専門家会議によって、国民の生活が支配され、その脅しで末端の市民社会では同調圧力が強くかけられる恐怖。今こそ・・・いえいえ、社会がどう騒ごうと現実をクールに見ることに徹しませんか?
by maystorm-j
| 2020-05-29 08:27
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