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2020年 04月 27日
身近な話題から感染の実態を考える。 リスクの比較ができない現状。
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1月下旬の8日間、毎日銀座のデパートで売り場に立ち、大勢の中国人観光客と接していました。すでに、武漢の様子は報道されていて、様々なマスクを眺めながら売り場でも話題にしていました。途中から店員さんもマスク着用が許されましたが、マスクの予防効果は期待できず、まだ自分自身が感染している可能性は少なかったので、私は特に着用しませんでした。当時、来客の感染割合はまだまだ低いと思っていましたが、無症候感染が多いことから、私の想定よりも感染者はいたのかもしれません。しかし、10日後の再度同じデパートに出かけた時も、店員さんの中から感染者がでたということはなかったようです。

春節の休暇中、中国から大勢の人が銀座や新宿、京都・奈良などの観光地、さらに各地のスキー場を訪れています。中国からの日本人帰国者やクルーズ船では水際対策が展開されましたが、その前に入った感染者や水際対策の不備を考えると、とても有効なブロックが行われたとは思えません。その後のクラスター潰しでも、満員電車は放置され、病院は感染源となり、ライブハウスや屋形船など、感染拡大防止が有効に行われたとはとても思えない状態でした。テレワークの推奨も、その実現は限られた会社のみです。

私の住む軽井沢も、中国人には人気の場所です。冬は寒いため、夏や秋の国慶節ほどは来ませんが、春節の時期に広大なアウトレットショッピング街や駅前スキー場、レストラン、ホテルやスーパーなどで聞こえてくる会話はほとんど中国語です。4月の初めに聞いた話ですが、接客業関係者の間で2月に変な風邪にかかったという話が出ていて、だるくいつまでもぐずぐず治らない、今まで経験がないタイプの風邪だというのです。東京の開業医の間でも、同じような風邪の患者が増えたという話もあります。いずれも、きちんとした調査や検査に基づく話ではないので、それがCOVID-19だという確証はありません。現在まで、公式には軽井沢で感染報告はありません。長野県では感染66名で死亡は0。同じような条件にある北海道では感染601名で死亡25名。軽井沢はせいぜい4km四方ぐらいの狭いところにスキー場を含むほとんどの観光施設が集中していますので、外来者の密度はかなり高い場所です。現在も東京などの都会から別荘へ避難・疎開している人が数多くいます。専門家会議の西浦氏が脅しているように重症化する割合が高いのであれば、とっくに感染者が多く発見されているはずです。

最近多くの専門家から、実際に感染している人の数は公式に報告されている数の10倍、あるいはもっと多数いるのではないかという話が出ています。海外で特定の地域や集団をスクリーニング検査すると、高いところでは30%もの感染割合が報告されます。日本でもある病院の一般入院者で6%という報告がありました。すでに人知れず多くの感染者がいるということで怖がられていますが、私はむしろそうだとすると重症化率や致死率は見かけより一桁下がって、ウィルスの脅威は言われているより低いということだと考えます。院内感染を防いで医療の健全な機能維持を計る、軽症者が重症化しないような施設と観察体制を整える、福祉施設や老人の感染を防ぐなど、重点的な対策を進める事が重要で、社会全体を凍結するような過重な対策はかえって犠牲を大きくするかもしれません。

もう一つ気になることとして、この3ヶ月間の感染拡大カーブが見えないことです。WHOの方針に反し、海外からの批判を無視して検査を限定して来たために、感染者数のグラフが全く信頼できません。これから感染爆発が起きるのか、あるいは死亡者の増加が緩いカーブを描いているのとパラレルに感染者数の拡大も緩いのか。他の国に見られるようになだらか頂上に近づいているのか、さっぱり判りません。気温の上昇とともに感染力が低減するのか、東アジア型のウィルスで毒性が低いのか。この点は、遺伝子検査、近年急速に進んだ次世代シークエンサーを活用すれば各地のウィルスのタイプがすぐに判明するはずですが、専門家会議には遺伝子解析の専門家はいないようです。信頼できる数字を解析して、起きている現象に整合性の高い説明を引き出して必要十分な対策に資することが疫学の仕事だとするなら、出発点の数字が信頼できないのでは、その後の説明も信頼できません。「8割おじさん」と呼ばれて根拠の薄弱な脅しを振りまいている専門家など、見るに耐えない存在です。経済活動、教育、福祉の凍結によって起きる重大なリスクとCOVID-19のリスクを冷静に比較して、納得のいく合理的な対策を選択する事ができません。5月6日まで現在の対策を維持することは仕方ないとしても、その間に冷静な解析と対策の見直しをしないと、どれだけの人が暮らしを壊され、職を失い、将来の可能性を奪われ、果ては命を落とすことになるのか、厚労省の利権の片棒を担ぐハーメルンの笛吹きたちの本質を見抜いていくことです。

福島原発事故の後で読んだ「はじめて学ぶ やさしい疫学 〜疫学への招待〜」 日本疫学会監修 南江堂 には、最初に疫学の定義として「明確に規定された人間集団の中で出現する健康関連のいろいろな事象の頻度と分布およびそれらに影響を与える要因を明らかにして、健康関連の諸問題に対する有効な対策樹立に役立てるための科学」とされています。最初に取り組むのは事象の頻度と分布を明らかにすることです。諸外国に比べて二桁低い検査数で、発生頻度も分布も不明確なままいきなり予想をチラつかせて対策に言及するのは、とてもまともな科学とは言えず、チンピラの脅しとカルトの教祖のように見えます。


by maystorm-j | 2020-04-27 22:14 | 社会


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