人気ブログランキング | 話題のタグを見る
2020年 04月 26日
COVID-19 見かけの感染率・致死率と実態
今朝は久しぶりにプラスの気温。4時に起きた時には7度で東南から強い風が吹き込んでいました。日本海側を低気圧が通過しているためですが、夕方には前線が太平洋側に移るため、再び寒くなりそうです。COVID-19 見かけの感染率・致死率と実態_d0164519_07460946.jpg3日前の氷点下5度以来続いた寒さで、開花したばかりのコブシの花が傷んでいます。「暖冬」と「冷夏」はよく聞かれる言葉ですが、寒い春はなんというのでしょうか。

COVID-19で著名人が亡くなるたびに、ネットには「コロナ怖い」という言辞が溢れます。毎年、インフルエンザでも多くの著名人が亡くなっていますが、注目度が低いこともあって、持病の悪化や肺炎で死亡とされることが多いようです。誰も「インフル怖い」と騒ぎません。国民全体では年によってばらつきが大きいのですが、大雑把に1万人がインフル関連で死亡するようです。アメリカでは医療格差が激しく、5万人が死亡。そう考えると、COVID-19で現在までにインフルより多くの死者が出ている国は、イタリア、スペイン、イギリスぐらいでしょうか。世界で死者の一番多いアメリカがインフルと同じぐらいですので、今後インフルを超えるでしょう。日本は現在40分の1程度。その割に著名人が目立ちますので、一般人の中にはカウントされていない(他の死因とされた)人が多いのかもしれません。

社会的なリスクの大きさは、生じる被害の大きさにそれが生じる確率をかけて考えます。今回の場合その確率というのは、「感染する確率」と「感染して死亡する確率(致死率)」の二つが重要でしょう。全人口中で感染している人の割合が感染確率ですが、現在何人感染しているのかが判りません。検査法は主に行われてきたPCR検査。時間がかかる上に精度は60%程度と言われています。検査数が国によってばらつき、特に日本はその検査が極めて限定的に行われているため、国民全体の感染割合を推定することが困難です。他には、抗体検査や遺伝子検査などの方法がありますが、抗体検査は感染初期では抗体がまだできないため、新しい患者の発見にはあまり使われていません。SARS-COV-2の抗体がどれぐらいの期間持続するのかもまだ不明です。遺伝子検査は近年、大量に速くできるようになり、その精度も高いのですが、ウィルスが消えた完治者では検出できません。様々な検査方法で現在、世界各地で地域や集団を限定して、構成者全体の中の感染者の割合の調査が進んでいます(スクリーニング調査)。今のところ、検査対象者の1%〜15%などのいろいろな結果が報告されています。中には閉鎖的な施設内で30%という数字もあります。

その一方で公式に発表されている全人口あたりの感染割合は、一番高いスペインで0.4%、イタリア0.3%、アメリカ0.2%、イラン0.1%、韓国0.02%、日本0.01%で中国はもっと低い。大雑把に捉えると、実際の感染者は一桁高い可能性があります。実際は膨大な数の無症候(不顕性)がすでに存在しているのかもしれないということになります。現在公式に報告されている致死率は、もっとも高いフランスで17%、イタリア13%、スペイン11%、イラン6%、アメリカ5%、、韓国2%、日本2%で、中国は全国平均で6%ですが、武漢市を含む湖北省を除いた他の地域全体では0.8%となります。

日本でも多くの専門家が、実際の感染者数は見かけの10倍いるのではないかと言っています。検査を限定している日本ではもちろん、他の国でも無症候感染者やごく軽度で自覚のない感染者、感染者と接触のあった人以外はあまり検査の対象になっていません。仮に世界中で、公式の感染者数の10倍、人口の1%程度がすでに感染していると考えると致死率は見かけの数字の10分の1。通常のインフエンザの致死率とあまり変わらないかもしれません。致死率が高いヨーロッパ諸国では、医療の予算が削減され態勢が脆弱になっていたところに、脅威にかられてインフル以上の医療を求めたせいで医療崩壊が起きて、重傷者を救えなかったためのように思えます。アメリカではもともと貧困者の医療が切り捨てられていたことが大きな原因でしょう。

現在とられている対策は韓国など少数の国を除くと、経済・福祉・教育に大きなダメージを与えるものです。その対策から起きるリスクの大きさを考えると、COVID-19のリスクを冷静に検証し直して、対策によって起きるリスクと比較し、よりダメージ(国民が受ける被害)の総体が少ない対策を選んでいくことが必要な時期ではないでしょうか。軽症者の簡易な隔離施設と経過観察態勢、社会インフラの維持、経済を回転しつつ感染拡大を遅らせる工夫。国民の生活保障。どうやらこの3ヶ月の動向を見るがかぎり、責任逃れの行政トップや官僚組織と、一時代遅れた頭脳の専門家会議では対応できないようです。

以上、素人の乱暴な見方で、いくつかの仮定をもとに展開しました。この見方が成り立たないかもしれないいくつかの問題があります。例えば、中国の出遅れた対策を一気に覆して、押さえ込みのモデルとなる対策を指導したと言われる锺南山さんが学会で発表したウィルスの変異。欧米で毒性が強まったウィルスがひろがりつつあるという指摘があります。新しい事実に注目しながら、今後も考え続けたいと思います。





by maystorm-j | 2020-04-26 09:17


<< 身近な話題から感染の実態を考え...      リスクの大きさとリスク管理 その1 >>