2020年 04月 24日
昨日早朝は氷点下5度。今朝も−3度に下がっています。今年は暖冬気味でしたが、3月になってから雪の日も多く、春は足踏み。地球は温暖化している、だから自分のいるところも暑いに違いない、そしてそれに合致する現象ばかりが目立って見える・・・これは科学とは逆の思考法です。 この3ヶ月間のメディアや専門家の議論で気になるのは、リスクの大きさを総体として説明できていないのではないかということ。感染力の強さ、重症化する可能性、致死率など、リスクのそれぞれの要素は説明されていますが、現在全人口のどれぐらいが感染し、そのうちのどれぐらいが死ぬのか、リスクの質にそれが起きる確率をかけないと、リスク全体の大きさが判りません。それは、流行が終わった後にしか分らないというなら、リスクの大きさにつりあった対策を立てることができなくなります。不釣り合いな小さい対策では被害の拡大を防ぐことができませんし、逆に不釣り合いな大きな対策では、対策によって生じる他のリスクや被害の方が目的の被害軽減より大きなってしまうことがあります。特に後者の場合、対策によって被害を受ける人は、もとのリスクの当事者ではない第3者のことがあり、その人にとっては自分に何も責任がないのに人為的に被害を受けることになります。経済や教育、福祉など社会活動全般にわたる自粛や規制など権利を抑制する対策が、リスクの大きさにつりあっているのかどうか。そうだとしてもその抑制によって生じる他の被害を軽減する対策がとられているのかどうかという問題です。 1月下旬、私は毎日銀座で多くの中国人観光客に接しながら、武漢で起きているこの流行はインフルエンザの3〜10倍のリスク、規模については1918パンデミック(通称スペイン風邪)のような流行を想定するべきかなと考えました。直感的なもので、もちろん正確な数量情報に基づいて推測ではありません。1918パンデミックは現在のインフルの100倍に被害をもたらしましたが、当時は第一次世界大戦で医療が十分に機能しなかったこと、その医療や衛生環境も現在とは格段の差があることなどから、病気の危険性は同等でも今回の被害は一桁低いのでは、という大雑把な予想です。現在のインフルより被害が大きくなるのは、当初から言われていた、新しいウィルスのために誰も抗体を持たず、ワクチンも特効薬もないことから、感染拡大が速く、重症化する確率も高いということからです。これは、素人の大雑把な予想ですが、それから3ヶ月経ち、実際はどうなのでしょうか? 災害、疫病、環境汚染など、リスクの発生初期においては、リスクの大きさを正確には算定できません。その段階で想定できる最悪のシナリオにそった対策をとることが求めらます。次第にリスクの大きさが解ってくるにつれて、それに見合った質と量の対策に絞り込んでいきます。どうも、日本ではこの3ヶ月間、大きな流れとして最初は極めて楽観的で放置、後からバタバタとし始めますが、その間に十分な検討も準備もできていないので、バタバタの対策は責任逃れの「自粛」中心。クルーズ船内の感染という格好のモデル実験でおかした失敗を、そのまま都市部の感染拡大と対策で繰り返しているように思います。 1月〜3月、武漢で次々と人が死んでいく報道、その後もイラン、イタリア、スペインと同じような状況が起き、SARS-COV-2(COVID-19の病原ウィルス名)は極めて毒性の強いウィルスなのではないかと考えられたのは当然でしょう。しかし、中国での致死率(感染数あたりの死亡数)は、武漢とそれ以外の各地では大きく異なることが判ってきます。死者の多い世界各地では、武漢同様に医療崩壊が起きて、重症者に十分な医療が施せない状況で死者が激増していることが見えてきます。感染者全てを病院にという方針が変えられ、軽症者はそれに見合った施設に隔離し、病院のパンクを防いで重症者を治療することになります。軽症者向けの施設という点でも、日本は出遅れています。 致死率の違いがウィルスの毒性ではなく、対処した医療体制の側にあるとするなら、低い方の致死率がSARS-COV-2というウィルスの実体ということになります。インフルより一桁高い程度の危険性という大雑把な捉え方は、あながち間違いではないと言えるでしょう。ここでは、感染者数と死者数を公式な発表通りとして考えています。死者数のカウントはインフルでも言われていますが、インフルの影響で他の病気が悪化して死んだ場合、死因を他の病気でカウントするかインフルで死亡とするかで、数倍の違いが出てきます。COVID-19でも同様でしょうが、注目度の高さから考えると、桁違いの差が生じるとは考えにくいでしょう。 一方で、感染者数というのは、検査数で大きく変わってきます。多くの国々がWHOの方針、まずは「検査検査検査」にそって検査数をどんどん増やしている中で、日本だけは2桁少ない検査数で、厚労省が検査を抑制してきました。感染者数の実態が分からなければ、致死率は見かけだけの数字で、そこからリスクの大きさを判断することができません。合理的な対策も立てられません。長くなりましたので、検査と致死率について次回考えていきたいと思います。
by maystorm-j
| 2020-04-24 08:08
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