2016年 09月 07日
アベノミクスに人はなぜ騙されるのか/経済の土俵で闘う事が必要 その10
隣の家の道端に咲くムクゲ。純白の花を選びました。韓国では無窮花(ムグンファ)とよばれ、国の花とされています。日本人にとってのサクラより、この花に対して韓国人はさらに深い陰影をともなう思いを持っているのではないかと想像します。「象徴」から感じる思いや問いかけは、それが無言であることで、より深い思考と感情を促すでしょう。
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先日、地元の護憲団体の学習会に参加しました。めずらしく、自由討論の時間が充分にあって、議論のきっかけとなるよう、いくつかの問題を提起。最初に、「原発、TPP、安保法制などの個々の問題では世論調査は反対が過半数を示すにもかかわらず、なぜ選挙のたびに負けるのか。何が足りないのか反省する必要」を述べました。「これは間違っている」という反対は出来ても、積極的に「こんな社会にしよう」という提案が弱いのではないか。特に経済の問題では、分配の不公平を述べていても、富の生産に対するビジョンがない。左翼リベラル系では、資本主義はすでに限界であり、経済は成長しない事があたりまえのように語られる。しかしこの20年の間、先進諸国の中で経済成長が止まっているのは日本だけで、ほとんどの国はGDPが2倍以上になっている。日本だけが異常な状態と見るべきではないのか。新自由主義経済によって、自然環境、生活環境、労働環境すべてが破壊され尽くす前に、異なる経済を我々は提起しなければならない。

もう一つ、SEALDsや市民連合が野党共闘を促し、一人区では一定の成果をあげたが、全体を見るならとても勝ったと言える結果ではないこと。最初の問題に対する参加者の反応はありませんでしたが、この問題では「若い人達が初めて声を挙げ、野党共闘につながった」とする肯定的な反応が主流でした。私は「声を挙げる」と「語る」事の違いを述べました。上に向って、政治家や政党に向けて共闘と野党統一候補を要求する圧力にはなりましたが、同じ仲間達、横に向って語りかける言葉をもっていなかった。SEALDsの集会で延々と続く「民主主義ってなんだ・・・これだ」というコール。デモや集会がなされる事が民主主義であるという主張、そのデモや集会の目的は「民主主義を取り戻す」である。運動の目的と方法が同じところをぐるぐる回っていたに過ぎず、これでは何も語っていない。星の王子さまに出てくる「酒飲みの悲しみ」を裏返しただけです。

世論調査が安保法制反対過半数、安倍政権支持の低落を示した昨年夏、マスメディアは急にSEALDsを肯定的に取り上げ始めた。国会での論戦や内外での憲法論議から、街頭での若者の活動に注目が移されます。本当に若者が一斉に声を挙げたのでしょうか。マスメディアや政党による意識操作を感じていました。SEALDsの実体はせいぜい1,000人程度。学内の多くの学生の共感を得ていた様子はなく、まして自己を賛美するエリート意識丸出しの彼らに、非正規雇用でワーキングプアにある同世代の人達が賛同していたとも見えませんでした。SEALDsの行動では、先頭の若者と学者集団の後に続くのは、ほとんどが年輩者だったのではないでしょうか。同世代をリードする運動ではなく、年寄りのアイドルにすぎませんでした。

60年安保、68年全共闘運動以来、初めて学生が立ち上がったともてはやされました。60年安保の記録や、その後に経験した学生の運動を振り返ると、大学ではクラスや学科で活発な討論があり、多数のセクト(党派)系学生にまじって、多くの無党派学生も活動し、積極的に学生大会や討論会に参加、学内いたるところでアジ演説が(辻説法)見られました。講義が始まる直前の教室では、学生に向って数分間語りかけながらビラ(チラシ)が配られていました。街頭に出て活動する学生の背後には、それぞれ何人もの学内活動家がいて、その背後にはさらにそれぞれ「シンパ」とよばれる賛同者や議論に参加する活性化した一般学生が多く存在しました。横の語り合いから運動がつくられていたのです。そこでは、上から与えられた言葉に頼る党派系学生より、無党派で個人として運動する学生の方が、自分なりの状況解析と自身の言葉を磨くことの重要性を感じていました。

SEALDsの運動は、同じ若い世代に届ける言葉をもっていなかった。選挙の投票結果がそれを冷徹に示しています。人に未来を示し動くエネルギーを生む言葉のないまま、便宜的に数合わせを目指した野党共闘路線が、選択肢の多い都市部や比例区では支持されず、選挙の終了とともに崩壊するのは当然です。「民主主義は数だ」という考えから、「民主主義は言葉だ」という考えに転換しなければならない事を感じます。


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by maystorm-j | 2016-09-07 06:48 | 社会 | Comments(0)


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