2016年 09月 06日
産卵場所を探すアカハナカミキリ

迷走していた台風10号は。東北地方に上陸した後は一気に駆け抜けていきました。海上を北上したため、大きさも強さも衰えず、風による収穫期の農業被害が懸念されていたのですが、結果は雨による人的被害を多く出してしまいました。農業被害は予想できても対策が難しいことがありますが、人的被害は常に予想外の経過をたどります。「予想外」だったとはいえ「予測不可能」だったとはいいきれないところが悔しいわけで、日頃、様々なシミュレーションをしていれば、予測の範囲は広がり、あらかじめ対策が可能だったかもしれない。残念ながら事後ではあっても、しっかりした検証が必要でしょう。失敗の検証が不充分なのは、日本の歴史で常に感じる精神風土です。異常な体験と、そこで起きる悲劇や美談が注目されて、起きた事柄の構造的把握や原因追及は忘れられてしまいます。

それにしても、極東地域の気圧配置は変です。見慣れない天気図が続いています。作業場の暑さ寒さは我慢できても、台風の風で屋根が飛んでしまったりすれば、どうにもなりません。簡単なシミュレーションですが、嫌な事は想像したくないのが人情。この秋は仕事場の事を考えなければならないと思っています。d0164519_09543998.jpg


昨日5日、作業場の中に飛び込んできて、あちらこちらの木材にとまっていた虫が、カメラを取りに行っている間に外へ。出入り口付近に放置されているカラマツの丸太、いい具合に腐食がすすんでいます。歩き回って穴にもぐったり、適当な産卵場所を探しているのでしょう。一年間の彼女の生涯にとっては、総仕上げのだいじな作業だと思うと、なんとなく真剣さが伝わってきます。


アカハナカミキリ、どこにでもいる見慣れた虫ですが、キーボードに「あかはなかみきり」と打ち込んで変換すると「赤鼻噛み切り」となりました。まるで違うなんだか妖怪の名前かと、どきっ! 君の知られざる正体は?・・なんて事はありませんね。カンタンの声はあいかわらず聞きませんが、夕方コオロギが一匹、この丸太の近くで元気に鳴いていました。昨日の仕事は、オーダーされた酒器制作の続き。いくつも並べて同じ作業を順番にこなしていても、それぞれどことなく表情が違っています。作業の微妙な加減と、その結果生じる表情の違いを検証し記憶しながら仕事を進めていきますが、最終的な出来映えの評価は仕上がってから。特に、展示してからお客様の評価が重要です。全工程を動画で記録すれば、仕上がりの微妙な違いが工程のどこから生じるのか検証できるかもしれませんが、しっさいには作業場に監視カメラを置くような事にはならないでしょう。

d0164519_09553349.jpg台風10号で多くの被災者を出した岩手県岩泉町の行政に対する批難・バッシングがたくさん寄せられているようです。まだ現地が対策に追われている時点での、感情的評価と批難は、災害の軽減にも再発の予防にもつながらないでしょう。批判者はただ、自分の感情の暴発先を探し、正義感を満足させているだけと思われます。災害発生の当初から時系列的な記録と検証の繰り返しは重要ですが、それは現場から少し離れた位置にいる、様々な専門性を有する人達によってなされることではないでしょうか。現場はそのとき最善と思う作業に全力を注ぐ事しかありません。現場ではしばしば、対策作業者自身も被災者である場合が多いでしょう。価値観をともなう評価や今後の対策のあり方は、災害が終息して、多くの事実が明らかになってから考える事です。「喉元過ぎれば・・・」で、時間が経つと記憶が薄れて反省しない、日本人の精神風土にも問題がありそうです。


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by maystorm-j | 2016-09-06 09:58 | 自然 | Comments(0)


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