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2016年 01月 06日
「お試し改憲」の危険性・・緊急事態条項


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「お試し改憲」の危険性・・緊急事態条項_d0164519_07575647.jpg現在の浅間山が出来る前、山頂は少し西にずれた「黒斑山」が聳えていました。2万年あまり前に現在の浅間山より大きなその黒斑山が崩壊し、軽井沢は崩れ流れた岩や土砂に埋まりました。その厚さは数十mと言われています。氷河期が終わる前のことですから、寒い軽井沢に人が住んでいたかどうかは判りませんが、動植物は壊滅状態だったことでしょう。文明の進んだ現在でも、そのレベルの自然の猛威に対して、人間の出来ることはほとんどなさそうです。今も軽井沢から佐久平駅南にかけて、所々に「流山」と呼ばれる小さな丘が点在し、そこには転げ落ちて来た「赤岩」が見られます。


40年も前の話ですが、関東大震災60年周期説が言われ、神奈川県南部に住んでいた私は、さてどうしたものか考えさせられていました。丸の内の某大不動産会社に勤めていた友人が、その会社のビルには莫大な非常食の備蓄があって、毎年一番古くなったものをみんなで食べて、新しいものを補充するという話をしていました。大震災があれば、事態に対処するために社員は会社に残り、家には帰れないことになっているから、大量の非常食が必要なんだと言われているそうです。


緊急事態の際の国の対応について、その不動産会社がどれほど知らされていたのか判りませんが、その友人は東名高速の近くに住む私に、幹線道路は自衛隊が封鎖するから通れなくなる、治安維持のために自衛隊の銃は被災者に向けられるのだから近寄らないようにと言っていました。そのまま一方的に受け取れる話ではないかもしれませんが、関東大地震の時に軍が虐殺に関与したことなどを見ると、非常事態を契機に国家がどのような振る舞いをするのか、考えておく必要はあります。


以前から、9条のように簡単には国民の賛成が得られない改憲案ではなく、環境権のように通りやすい条項から「お試し改憲」ということが言われていました。安保法制の強行直後から、国の非常事態に対応するための「国家緊急権」改憲が安倍総理からでてきました。東日本大震災のような規模の自然災害に対処する非常事態条項が必要かもしれないという考えは以前からありましたが、自民党の考える国家緊急権は「お試し改憲」と呼ばれるような生易しい内容ではありません。ドイツの国会放火事件で発動され、ナチ独裁のきっかけになったものより強力な権限内容と言われています。


少し前にIWJ動画で、日弁連で災害対策にあたっていた永井幸寿弁護士と小林節氏の議論を見ました。現在、会員以外でも全編動画が特別公開されています。

http://iwj.co.jp/wj/open/archives/271317


今月19日の岩上安身氏による永井弁護士インタビュー動画はイントロのみ一般公開

http://iwj.co.jp/wj/open/archives/279662

3時間を越える全編動画は会員のみですが、

http://iwj.co.jp/wj/member/archives/42931


災害対策について日本では法制度がかなり整備されています。その内容については、火山噴火を例に問題点もいろいろ考えましたが、それはさらに法制度の改良で対応すべきことで、非常大権を導入すべき問題ではありません。国家緊急権は弾圧と独裁への道を開くものと見るべきでしょう。


SEALDsやそれを支える文化人の中には、「必要があるなら改憲すればいい」という空気があります。「左からの改憲」「新9条改憲」など、内容を検証することは必要ですが、その前に改憲してもいいんだと言う雰囲気が醸成されることの危険性を感じます。



by maystorm-j | 2016-01-06 21:21 | 社会


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