2013年 02月 03日
選挙の敗北を考える  その9 若い世代の意識
今回の投票日直前に、若い世代の投票が延びないのではないかと言われ、私もそうですがネット、ツイッターなどで多くの人が投票を呼びかけました。現在2・30代の有権者数と6・70代の有権者数がほぼ同じ、約3,100万人です。しかし投票率は大きく異なります。今回の選挙の年代別投票率はまだ発表されていないようですので、前回を参考にします。20代の投票率は約50%、30代は約64%、60代は約84%、70代が約71%です。今回も仮に同じとしますと投票数は、20代は670万人、30代は1120万人に対して、60代1530万人、70代940万人で、高齢層の方が880万人の差が出ます。

「明るい選挙推進協議会」の統計「年齢別投票率の推移」http://www.akaruisenkyo.or.jp/070various/071syugi/693/を参照しながら考えてみます。

前回選挙は投票率が今回より10%高く、2・30代の投票率は全体の投票率の変動に較べると変動幅が大きい事を考えると、投票率がほぼ同じだった平成15年選挙の年代別投票率を有権者数にかけてみます。

20代/1342.2万人x35.62%=478万人、30代/1750.5x50.72%=888万人、合計1,366万人
60代/1822.8x77.89%=1420万人 70代/1328.7x67.78%=901万人  合計 2,321万人
その差は955万人。投票者総数が6,167万人ですから、選挙結果にかなり影響すると思います。

私もそうでしたが、反原発・反新自由主義・反改憲を願う側は若い世代の投票を呼びかけました。間接民主主義制度のもとでは、主権者の投票が政治の基底であるという原理的な問題があります。しかし同時に、若い世代が「反」の側で投票する事を期待する雰囲気がありました。その期待の根拠には、大きく二つあったと思います。

一つは、官邸前抗議行動に象徴される若い世代が政治に目覚めていると感じたこと。また、原発事故によって拡散した放射能の健康被害が小さな子どもほど懸念され、若い親達の世代が原発問題に敏感なのではないか、という事です。

もう一つは、格差の拡大によって若い世代程貧困が進み、しかも少ない人口で高齢者の年金や福祉を支えて行かなければならない矛盾を感じているだろうということです。消費増税の負担感は低収入者ほど重く感じる事、改憲・集団自衛権・戦争加担で死ぬのは若い世代であること。これらの世代間格差が、若い世代を「反」に向わせるだろうという期待がありました。

最初の点について、私は首都圏反原連に対する疑問があって参加しなかったので、実体を捉えきれていませんが、地元のデモや集会、経産省前や文科省前に行ってみた様子や、動画で見るデモや抗議行動の参加者の様子から判断すると、年齢的にはかなり均等に分布しているように思います。集会や学習会などはむしろ年齢が高く、デモで音楽や踊りに参加するのは若い世代中心だったようです。

パレードでドラム叩いたり踊ったりという表現の裏には、逆に日常の家庭・地域・学校・職場などでは、言葉や行動で表現できていないという事実が隠されていたと思います。パレードは非日常の「祭り」で「元気をもらう」という位置づけだったのでしょう。少数派であるという抑圧感からの一時的な解放行動を見て、若い世代全体の意識と見誤っていた気がします。

身近な地元でも、放射能による環境汚染や給食などの問題に積極的なのは本当に少数の若い親達で、その周囲に親業卒業世代がこれも少数、オロオロしている状態です。気分的な「反原発」がいかに多くても、実際に何か行動した途端、自分たちがいかに少数派であるか、すぐに判ります。「反」の入り口にいる多くの人々に、そこから先なにをどのような方法で提示すれば良かったのでしょうか。

もう一つの、はたして格差拡大・貧困化の問題は世代間格差と直結していたのでしょうか。「99%対1%」という社会の捉え方が、アメリカのオキュパイ運動から日本にも輸入されました。その捉え方が受け入れられた背景には、小泉時代から急激に進んだ新自由主義経済による雇用形態の変化があります。若い世代の正規雇用が減少し、派遣社員が年越しできないような状態が起きていました。社会の行方を若年労働者問題は鋭く示しているのですが、それが若年層全体の問題意識として共有されているかというと、先鋭的現象なだけにまだ一部の問題でしかないのです。

若者一人一人の経済状況は悪化していても、その親達の多くは「逃げ切り」世代です。持ち家があって、30代後半の子ども世代は結婚していれば親の援助で家が持てたり、高学歴(半分が大学進学)を得て職についています。もっと若い人達では、責任のともなう面倒な結婚を避け、少ない収入のほとんどを自分のために使う事で、なんとかバランスをとっているように見えます。

昨年、内閣府の世論調査 http://www8.cao.go.jp/survey/h24/h24-life/index.htmlでは「生活が向上している」と感じる割合は20代で一番高く19%、次が30代で9.5%、逆に「低下している」という答えは50代60代で高くなっています。20代の75.4%、30代の69.4%が現在の生活に満足していて、70代以上の71.4%を除くと一番高い世代になります。若年層の半分が非正規雇用という時代になってきていますので、実際は今後大きな問題になるでしょうが、現在はまだ99%が貧困・搾取されているという意識ではなく、意識の上ではむしろ強い保守層だったということです。

政治に関わる姿勢としては、今後どのように社会が変化するか、国家権力がどこへ向おうとしているかを予見して、とるべき方向性を提示するのは当然ですが、選挙においては有権者全体の現状を把握して、その意識に向って語りかける必要があったという事ではないでしょうか。
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by maystorm-j | 2013-02-03 07:08 | 社会 | Comments(0)


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