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2013年 01月 05日
選挙の敗北を考える  その5 未来の党と反原発の二つの流れ
前回の記述「その4 未来の党にはリアリティーが欠如」では、東日本と西日本の原発問題に対する視点が違い、嘉田滋賀県知事が代表して出された政策要綱「琵琶湖宣言」には福島も東北も出てこないし、放射能汚染の健康被害や農業被害についての視点もないことを考えてみました。党がにわか作りで、党員がいるわけではなく、充分な内部議論をする時間的・組織的状況になかった事は仕方ないでしょう。嘉田さんを担ぎ出した結党のフィクサーと思われる立場の飯田哲也氏は長年の反原発のキャリアがあり、一部ではカリスマ的な人気もありましたので、飯田さんの「反原発」について少し見ておきたいと思います。

反原発の運動には、いくつもの流れがあるように感じます。一つは、福島の事故を契機に原発の危険に反対し、原発を止めようとする運動。分けてみるべきかもしれませんが、その原発の危険の中身として、具体的に放射能の健康被害や農業被害などを中心に考えてきた運動が含まれます。事故そのものの、今も続く危険や再発の可能性、事故の責任などを中心に据えてきた運動もあります。この二つの流れは、前者が子育て世代、後者が自責感の強いシニア世代という、多少の差はありますが、瓦礫問題や地域の汚染問題など具体的課題では比較的スムーズに融合していて、会話も保たれていたように思います。

もう一つの流れとして、反原発をエネルギー問題という視点から見る運動があります。原発に替わるものとしての自然エネルギーを推進することに重きを置いた運動です。こちらの方も、エコロジー運動とその周辺にスピリチュアルな運動や有機農業運動、資源節約運動など幅広い活動と歴史があります。

この二つの流れはもちろん明確に分けられるものではありませんし、鎌仲映画の上映や地域のデモでは合流するのですが、微妙な感覚のズレを感じます。エコロジー運動は生活様式を変えようという未来志向なのにたいし、前者は現在進行形の危険に視点をおいていて、どちらかというと前者が政治嫌い、後者が政治に積極的という面があります。

飯田さんの他にも、田中優さんや緑の党(みどりの風ではなく)、田中優子氏や池田香代子氏などの周辺文化人も前者の側で、嘉田由紀子さんの経歴からすると代表に担がれたのは納得がいきます。鎌仲さんの意識の基調もこちら側でしょう。政治嫌いで、ものごとの政治的背景を探る視点がないため、騙されやすい人達である事は、たぶん以前にも書いたと思います。ガイアシンフォニーやアムウェイなど、巧妙な似非エコロジー策動にコロッと騙されたままの人も多いようです。

以前、地元で鎌仲映画の上映会があり、鎌仲監督が賞賛した本「スウェーデンは放射能汚染からどう社会を守っているのか」をたまたま持ってきていて、会の終了後その本を読みたいという若い人にまわす時「対策の考え方は参考になるが、基準の数値はとてもあまい」と注意して渡しました。スエーデンの公的機関がまとめた本で、私の認識も甘かったのですが、ノルウェーとスエーデンの原発に対する国民意識の差も気づいていませんでした。

エコロジー派は、自分の理念に都合の良い事象を選択的に取り上げます(と言うと、政治的反原発派は危険ばかり誇張すると言われます)。より良い生き方を求めて都合の良いものごとを暮らしに取り入れるのは結構な事ですが、差し迫った危険や政治的動向には対処できません。その辺りが、琵琶湖宣言のリアリティー欠如、西と東の温度差と感じられた根底にあるのでしょう。小沢氏に率いられた政治的実効性や実利を重んじる集団や亀井・山田氏のように具体的な政治課題で動こうとした議員達と、国会以外で活動してきた嘉田・飯田両氏とのかみ合わせの悪さになったものと思います。

飯田哲也氏に対しては、以前から肌が合わないと私は言ってきました。もちろん、選挙期間中は利敵行為になるのでエコロジー派に対する疑問は封印しました。選挙が終わって、これほどの敗北の原因を考えるには、そこは避けて通れません。

最後に、飯田哲也氏とスエーデンの反原発について、ひじょうに具体的、明解に解説したあるブログの記事を紹介します。エコロジー派からの批判で、すこし長いものですが解りやすく参考になると思います。

ブログの名前は  「農と島のありんくりん
  ありんくりんは沖縄語であれこれ。農業の話、村の話、そして沖縄の話を織りまぜて。」
 記事は 「未来の党」飯田哲也氏が見なかったスウェーデン1980年代以後の民意の変化http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-6d50.html
なお、このブログの他の記事について私はかなり考えが異なり、エコロジー派の政治的視野の狭さを感じますが、筋道だった論述ですので読む価値はあります。

by maystorm-j | 2013-01-05 07:16 | 社会


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