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2011年 06月 07日
コップの中の嵐は続く・・大連立騒ぎへ  6月7日 2011年
不信任案が不発に終った後、明示されなかった菅首相の退陣時期をめぐって、次を狙う「大物政治家」達が陰に陽に動いています。一気に魑魅魍魎が飛び出した感がありますが、「夜討ち朝駆け」「ぶら下がり」が得意なマスメディアは、大物達に群がり、勝手な推測報道を流しています。ますます一般の政治アレルギーは症状が進むでしょう。

日本人の歴史観の底流には、千数百年にわたって連綿とつづいた天皇制、そのもとで権力闘争に明け暮れる英雄達が国を築いて来たという「国取り物語」が流れています。敗戦後の一時期を除いて、他国の占領支配を受けなかったこの国には、漢字の伝来以降、大量の文書・文学が伝わっています。いきおい史学はそれらの読み解きが中心になり、そこからもれる民衆の記録は対象になりにくいことになります。

NHK の大河ドラマも大筋は英雄列伝と思われます(見てはいませんが、新聞の番組紹介で考えると)。取り上げられた英雄達ゆかりの地は、大量の観光客で賑わうようです。歴史上の国取りも、現在の政権争いも私にはたいして違いはなく思えるのですが、テレビを見ている人には、かっこいい俳優達が演じるきらびやかな映像と、ニュースに映る現実の政治家群像には大きな落差を感じるのではないでしょうか。

歴史は勝者によって書かれる以上は、滅ぼされる側が正当に描かれないのは、どこの国でもある事でしょう。しかし、日本のように王制(天皇制)の血統が千数百年も続いている国をしりません。いきおい歴史は一面的になります。さらに、お上に反抗したり、支配から逃げた民衆の記録は、極端に少なくなくなる可能性があります。明治維新の直前「偽官軍」の烙印を押されて圧殺された赤報隊や、明治17年の秩父困民党、いずれも私が住む信州佐久地域が弾圧の地であったにもかかわらず、地元でもあまり語られることはありません。

国取りの場としてしか国会を捉えない今の報道は、政治家に対する不信を増すばかりです。議員定数を減らそうという意見も強くなります。地方議会の場合は、人口に較べて多すぎるかなというところもありますが、定数削減が国会の機能を高めるとは思えません。定数が減れば、利権や組織、資産や血筋に安住する政治家がますます有利になる事が予想されます。与党議員の中から、かなりの数が閣僚や政務官として行政府に参加します。大物・長老はそこに入りませんので、議員数が減ると、政府から独立した元気な議員の数は相対的に少なくなります。行政をチェックする力は弱くなるでしょう。

国会はこんな時に何をやっているんだと非難する人が多いなかで、どれだけの人が国会の委員会中継を見ているのでしょうか。マスメディアが報道する「国取り物語」にばかり、目が行っているのではないでしょうか。国民投票や首相公選が出来ない現在の制度では、公に議論し決定する場として、国会はその頂点にあります。その場から、政権にすり寄らない元気な議員を排除したり、「大連立」で活発な議論を封じるなら、戦前の「2.26事件」に代表される若い人の「憂国の暴発」につながる事もあるでしょう。

自然エネルギーの旗手、飯田哲也さんが、エネルギー政策と行政・政治との関わりを、時代を追って解説しているインタビュー映像を紹介します。2時間近いのですが、BGM代わりに聞いて下さい。講演やレクチャーで、一方的に語っているものとはちょっと違う構成の話です。
2011/05/26 環境エネルギー政策研究所 飯田哲也氏インタビューhttp://iwakamiyasumi.com/archives/9895

by maystorm-j | 2011-06-07 09:00 | 社会


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