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2011年 06月 02日
コップの中の嵐・・・不信任案の行く末は?  6月2日 2011年
昨日も仕事場の屋根にあたる雨音と鎚を振り打つ音が響く中で、国会中継を聞いていました。怒号やヤジが飛び交う党首討論は、その後に内閣不信任案の提出が予定されているからか、あるいはもともとその程度のものなのか、記憶に残るような内容はありませんでした。内容はともかくとして、これまで比較的冷静に発言すると思っていた公明党の、やたらと勇ましい雄叫びは、映像抜きで聞いていると「おやまあ!」という印象。

コップの中では嵐が吹いているのに、これまで菅首相を批判してきた多くの団体、個人のサイトでは、ほとんどこの問題に対するコメントがありません。信州のはじっこにいて、永田町に個人的なつてがあるわけでもなく、公開されたマスメディアとインターネットと活字の情報を頼りに考えてきた私に、何か他の人と違う「目から鱗」のような論評ができるわけもありません。しかし、さんざん批判しておきながら、土壇場で洞が峠を決め込むのも「なんだかなあ?」という気持ちもあります。そもそも「お日和を見る」必要があるほどの大物ではありません。

これを書いている6月2日の朝6時前では、不信任案の攻防は10~20票の争いというところまで、煮詰まっているようです。NHK の報道でそのように伝えられているので、議員の間ではすでに決着がついているのかもしれません。誰がどう投票するかについては、まったく知りませんので、コップの中の解析はできません。違う切り口から考えてみます。

不信任案に対しては、だいぶ前から首相は解散を口にしていました。解散して選挙になれば、民主党はかなり後退し、政権交代がご破算になることも予想されます。この事自体不思議な話で、辞めてしまえと言われて「そんな事言うならみんなで死んでやる」と言い返している感じです。ここに一つのねじれがあります。辞めろと言っていたのは野党側ですが、みんなで死んでやるという言葉は民主党に向けられているという事です。党首が無理心中を図ろうとしているわけで、民主党に投票した人たちはどう思っているのか聞きたいところです。

では、解散総選挙は可能なのでしょうか? 被災地では、地方選挙が延期されています。遠方に避難している人たちに、投票用紙が届くのでしょうか? 自治体は必死に復旧作業をしているところで、通常の時の何倍か何十倍かという選挙事務がこなせるのでしょうか? 8千人を超える行方不明者の家族に投票用紙が送られてくることを想像すると・・・? 被災者を置き去りにした選挙の無効を後から裁判所に訴えても、何年も経ってからせいぜい「違憲の疑いはあるが選挙は有効」という気の抜けた判決が出るだけでしょう。解散するぞと言うこと自体がひどく無神経に感じられます。

民主党の中で不信任案に賛成すれば党外に出る事になるのでしょう。政策を中心に見れば、党外に出る人たちは自民党や公明党と距離のある人たちと思われます。もちろん菅首相とも距離があります。不信任案が否決された場合や、可決されて解散ではなく内閣が総辞職した場合、どのような組み合わせで国会の多数派が形成されるのでしょうか。誰が新しい指導者にふさわしいか、「新指導者待望論・・・「戦後」から「震災後」? その2 5月20日」に書いた事ですが、原発問題で受けのいい事を言っているというだけで、指導者として待望する事を批判しました。しかし私には、誰がいいという目算があるわけでもありません。

民主党から出る部分が自・公以外の野党と組んでも多数をとれるわけではないので、結局は自公政権と変わらない、あるいはもっと悪くなってしまった民主党残留組が何らかの形で自・公と「中連立」になるのでしょうか? 政権交代飴をなめてみたら、金太郎飴のように前と同じ顔が現れてうんざりしているところに、今度は金太郎飴を握りかえて反対側の手垢がついた方からなめさせられるような気分になりそうです。「自民」と「民主」の2頭だて馬車に公明党が御者として乗るというのも悪い夢です。

このように考えると、不信任案審議の前に菅首相が自主的に辞めるというのが、一番ましな選択と思われますが、本人がその気にならなければどうにもならないからここまで続いてきてしまったとも言えます。また、裏でアメリカが引導を渡して首をすげ替えるというのも不愉快な話です。

コップの中の嵐に気をとられているドサクサに、政府はかなり強引な日程で「コンプユーター監視」法案を衆院で可決し、参院に送りました。令状なしでインターネットの内容を捜査出来るという、以前に民主党も反対してつぶしたはずの「共謀罪」のインターネット版のようなものです。自民党に揶揄されながらも、「大連立」で圧倒的に押し切りそうな気配です。やましいところがあると、人の口を封じたくなるのでしょう。

結局、堂々巡りの話で、なにも明確に言い切ることができませんでした。コップの外の嵐を一つ紹介します。酔っぱらいの梁山泊のような映像で、被災された方の立場からは不愉快に思われることもあるでしょうが、雑然とした中に何か新しい可能性も見えると感じています。
「2011/05/31 原発怖いぞコノヤロー景気付け交流会」
長いうえに、登場する人たちは酒が入っているので、時間のある時に「カウチポテト」で覗いて下さい。

by maystorm-j | 2011-06-02 07:16 | 社会


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