2011年 04月 26日
原発周辺に残された家畜「処分」 なぜ福島県なのか? 統合本部とは?  4月26日 2011年
創刊以来読んで(見て)いるフォトジャーナリズム月刊誌「DAYS JAPAN」5月号に、編集・発行人である広河隆一さんの写真と文が載っています。その中の一枚の写真、痩せて骨が浮き出た馬の世話をする人の姿。ここで直接お見せすることは出来ません。定価820円ですが、お買い求めいただければと思います。

福島県が独自で、原発周辺に残され放されている家畜の対作を始めました。持ち主がわかる家畜は元の農場に戻すという。警戒区域ということで、立ち入り禁止になっている農場に戻して、どうなるのだろうか。持ち主の同意で、衰弱した動物は「殺処分」する予定ですが、原発災害時の家畜の取り扱いを決めた法律はないそうです。農家の中には、被曝覚悟で家畜の世話をしている人がいる一方で、すでにたくさんの家畜が餓死していて、県ではその消毒も行う事にしています。残された馬を救い出そうとする民間の動きがあります。NPO法人 引退馬協会では、支援が必要な馬と支援出来る人や組織をつなぐ運動を行っています。宮崎県や栃木県など、いくつかの地域で、家畜の受け入れを表明していました。

なぜか、民間や地元自治体が独自に動いているのに、国の動きが見えません。法的根拠や権限のないところが頑張っているように思えます。「原子力災害対策特別措置法」の目的に、
「第一条  この法律は、原子力災害の特殊性にかんがみ、原子力災害の予防に関する原子力事業者の義務等、原子力緊急事態宣言の発出及び原子力災害対策本部の設置等並びに緊急事態応急対策の実施その他原子力災害に関する事項について特別の措置を定めることにより、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律 (昭和三十二年法律第百六十六号。以下「規制法」という。)、災害対策基本法 (昭和三十六年法律第二百二十三号)その他原子力災害の防止に関する法律と相まって、原子力災害に対する対策の強化を図り、もって原子力災害から国民の生命、身体及び財産を保護することを目的とする。」とあります。

原子力災害対策本部が設置され、内閣総理大臣を本部長とするピラミッド組織です。国の責務として、「第四条  国は、この法律又は関係法律の規定に基づき、原子力災害対策本部の設置、地方公共団体への必要な指示その他緊急事態応急対策の実施のために必要な措置並びに原子力災害予防対策及び原子力災害事後対策の実施のために必要な措置を講ずること等により、原子力災害についての災害対策基本法第三条第一項 の責務を遂行しなければならない。」と規定されています。

なにもかも上意下達のシステムが良いとはまったく思いませんが、「原子力緊急事態宣言の発出」で、権限を集中しておきながら、「地方公共団体への必要な指示」と「実施のための必要な措置」が講じられているとは、家畜の問題一つを見ても思えないのです。他の問題でも対策本部からのメッセージは見えず、東電のフィルターにかけられた情報発表、保安院の根拠のない解説、官房長官のウソ、総理大臣の意味不明な答弁が、バラバラに出てくるばかりです。

さらによくわからないのが「事故対策統合本部」というものです。作られたという発表以来、何をしているのかさっぱりわからないまま、昨日突然に初の合同記者会見がありました。4時間に及んだそうで、まだ内容は見ていません。先に紹介しました「原子力災害対策特別措置法」には、対策本部内の命令系統が、本部長以下、指定行政機関、地方公共団体、事業者に対し規定されています。統合本部と言われる組織が、法的にどのように位置づけられ、どのような権限をもつものかがわかりません。3月15日の官房長官発表を読む限り、統合本部というものは明らかに「原子力災害対策特別措置法」と矛盾し、むしろ違法な組織という印象を持ちます。

政府はこの間、いくつもの会議を立ち上げるばかりで、どこに権限があるのか、責任があるのか、だれがやるのか、どんどんわからなくなっていきます。その一方で、避難所、原発の現場、自治体・・・過労状態や経済的疲弊でパンク寸前に見えます。動物を含めて、多くの命が避けられる死に直面しているのです。

たびたび、この国の官僚は優秀ではないと書きました。前例や想定されていない問題には無能な官僚も、適格な指示と方法が提示されれば、手際よく実行する能力は高いと言われています。原発関連事業にいた技術者や御用大学の研究者の中からは、出世・保身をあきらめた多くの反乱者が出ています。官僚の中には、指示が出ないので動けず、イライラや無力感が見られるそうですが、ここにいたっても自ら反旗を掲げることはないのでしょう。

各地の地方自治体には、独自で職員を被災地の自治体へ応援に派遣しているところもあります。官庁にいて動けずにイライラ・ブラブラしているなら、国家公務員の1~2割を被災地へ派遣して、自治体の指示で動けるようにした方が役に立つかもしれません。

追記
一ヶ月の休暇をとって、被災地の村長さんの下で働く官僚が・・・いるわけないか?

責任や実行の所在が曖昧にされている事を批判しましたが、原発情報の提供が原子力災害対策本部に一本化されればいいというわけではありあせん。ジャーナリストの側から、『原発事故報道の裏で進むメディアの「選別」』:高田昌幸さんの文章を紹介します。
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by maystorm-j | 2011-04-26 07:13 | 社会 | Comments(1)
Commented at 2011-04-26 11:38 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。


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