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2011年 04月 24日
20ミリシーベルトの矛盾   4月 24日 2011年
いろいろ考えているうちに、文科省から福島県教育委員会に対する通知「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について」への批判が数多くのWeb Site で展開されていて、今さら書き足す事もなさそうな状態になってきました。年間20ミリシーベルトの被曝を子どもに許容(強要?)させることがいかに危険な事か、前にも紹介しました武田邦彦さんが書き続けていますので、そちらをご覧いただければと思います。

文科省の通知を読んでみますと、誰が決定したのかわからなくなってきます。福島県教育委員会は文科省の通知に従い、文科省は原子力災害対策本部の通知に従い、原子力災害対策本部は原子力安全委員会の助言に従い、原子力安全委員会は国際放射線防護委員会(ICRP) の声明に従ったということのようです。誰一人として主体的に考えたところはなく、一番のおおもとは一番遠くにいる海外のICRP という事になります。現在も将来的にも、ICRP は福島の子どもに対し何ら責任を負う事はないので、この結果、子どもの健康が将来害されたとしても、誰も責任をとりません。これが日本の官庁の仕組みです。

文科省の通知は、校舎・校庭の利用基準を「児童生徒等の受ける線量を考慮する上で、16時間の屋内(木造)、8時間の屋外活動の生活パターンを想定すると、20mSv/年に到達する空間線量率は、屋外3.8μSv/時間、屋内木造1.52μSv/時間である。」と述べています。この基準を超えるところでは、屋外活動を1時間以内に制限するという事のようです。13の小中幼保が該当すると報道されています。

文科省が20ミリシーベルトというのは、あくまでも外部被曝の数値で、実際は食べ物や空気、水などから体内に取り込まれている放射性物質による内部被曝を足さなければなりません。子どもは放射能に対する感受性が高いので、大人と同じ基準を適用する事には無理がありますし、大人にとってもこの数字は、放射線業務従事者が承知の上で許されるものです。妊娠中であれば業務従事者とはいえ、許されていませんし、業務従事者は被爆線量がわかるようにフィルムバッジをつけています。

20ミリシーベルトという数字は、屋内退避指示から計画的避難に切り替わった時、年間でその数字を越えそうなところの基準でした。20ミリを越えそうだと、一ヶ月を目途に避難せよという基準です。それより少し低い地域は緊急時避難準備区域とされたのではなかったかと思います。原子力災害対策本部長の指示をご覧下さい。具体的内容や根拠は、首相官邸災害対策ページにあります。その中から少し長くなりますが引用します。

「 緊急時避難準備区域
以下の区域内の居住者等は、常に緊急時に避難のための立退き又は屋内への退避が可能な準備を行うこと。なお、この区域においては、引き続き自主的避難をし、特に子供、妊婦、要介護者、入院患者等は、当該区域内に入らないようにすること。また、この区域においては、保育所、幼稚園、小中学校及び高等学校は、休所、休園又は休校とすること。しかし、勤務等のやむを得ない用務等を果たすために当該区域内に入ることは妨げられないが、その場合においても常に避難のための立退き又は屋内への退避を自力で行えるようにしておくこと」

ここに書かれていることは「20ミリを越えそうな計画的避難区域の以外の30km圏でも自主的避難、特に子ども、妊婦・・・・・は立ち入らないこと、学校・幼保は休校」ということです。爆発などの緊急時には、風次第で短時間に放射能が広がることもあるでしょう。20ミリシーベルトを越えそうな地域は、計画的避難区域であって、屋外活動が1時間以内というような問題ではないことを、首相が指示しているのです。

by maystorm-j | 2011-04-24 21:51 | 社会


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