2011年 04月 17日
崩壊する「神話」・・・原子力発電はやめられない  4月17日 2011年
古来民間で語り継がれて、様々な地方ヴァージョンをもつこともある民話と、「神話」との境界には曖昧なところがあります。民話に登場する神様は、ずいぶんといいかげんで、時には「コマッタ君」もいます。神話にもいろいろありますが、宗教家や権力者が語る神話では、神は絶対的で、まちがいをおかさない存在になりがちです。民話の神様は、笑ったり茶化したりしながら語られますが、後者の神話には批判を封じる力が働く事があります。ヴァライエティーの存在が、時には宗教戦争の原因にもなります。

「原子力発電は絶対安全」という話は、権力者が語る神話にあたります。民衆の間から自然発生するはずはありません。御用科学者とマスコミという宣教者を動員して布教活動が展開されてきました。布教活動には多大な金が投じられてきました。しかし、たかだか60年ほどの原発の歴史の中で、安全神話は様々なほころびを見せています。密室内で起きた多くの事故は隠され、隠しきれない事故は政府・事業者・学者・マスコミが宗派一体になって、過小に評価・宣伝されました。

いくら布教しても、放射能に不安を感じる民衆には、「原子力発電をやめると、昔の貧しい生活に戻る」という次の神話を財界人に語らせます。信じないと地獄に堕ちるという、宗教にはよくある話です。安全神話に対しては、過去多くの異議がとなえられてきましたが、異端として退けられてきました。しかし今、隠しきれない破綻が起きて、なり振りかまわず次の神話にすがる者とすばやく宗旨替えする者がいます。宗派内でも民衆にもまだ、「電力の不足神話」が残っています。

原子力発電をやめると、どれだけ電力が不足するのでしょうか? 不足すると主張する人の根拠は、いくら探しても「原子力発電が30%」という現状の数字しか出てきません。その30%がなくなると「大停電」「経済の崩壊」「昔の貧しい暮らし」「寒さと飢え」・・・恐ろしい地獄絵図が語られますが、その根拠は「30%」という数字しかありません。新しい神(自然エネルギー・持続可能エネルギー)はまだ幼子で、地獄からあなた方を救うまでに成長するには時間がかかります、と口を揃えて語ります。これまでその幼子が大きくならないように、いじめていたことなんかなかったという顔をして語っています。

原子力発電はコントロールがむずかしい、今多くの人がそれに気づいています。広島に落とした原爆の何百、何千倍ものエネルギーを一つの原子炉の中で燃やします。一度運転を始めると、簡単には止められませんし、出力を落とすのも危険なほどの大きなエネルギーを扱っています。そのために、運転出来る火力や水力を止めて、原発を優先して運転します。その結果が「30%」です。

「原子力は安い」という神話もあります。事故が起きればとんでもないコストがかかることで、この神話は吹っ飛んでしまいました。しかし、異端者たちは事故の前から、国が税金で原発の後始末(廃棄物処理や廃炉コストなど)をするから、安くなるというからくりをあばいてきました。しかも、廃棄物の最終処理施設は出来ていないので、これからどれだけの税金が費やされるのかさえ未定です。出力調整がしにくいため、夜間にあまった電力を採算度外視して夜間電力といって叩き売りしています。それでも余る電力で、揚水発電というきわめてコストの高い発電方法を無理に導入しています。揚水発電のコストを含めると、原発が一番高い発電方法になります。

日本には石油資源がないから世界の石油が枯渇したら困るという、「枯渇神話」もあります。しかし、石油以上にウラン資源は世界で偏在していて、こんご争奪戦が激しくなる事も予想されます。ウラン資源が枯渇しないという保証もありません。

最後に二人の「異端者」のお話を紹介します。Web Iwakami にあります、小出裕章さんの2度目のインタビューと、大島堅一さんのインタビューです。4月11日に収録されたもので、インタビューアーは岩上安身さんです。
[PR]

by maystorm-j | 2011-04-17 05:54 | 社会 | Comments(0)


<< 崩壊する神話 その2 食の安全...      封じられる自由 その8・・・な... >>