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2011年 09月 08日
3.11 と 9.11  世界は変わったのか?  9月8日 2011年
3.11と9.11。この二つの日付は偶然ですがちょうど半年の隔たりがあります。9.11はテロという人災、3.11は地震という天災という両極的な見方をとるつもりはありません。9.11のテロについては、あまりに疑問が多いまま、アメリカによって首謀者とされた人物がアメリカによるテロで殺され、ますます事実の解明は遠ざけられました。3.11については、日本政府の必死のごまかしにもかかわらず、多くの国民は程度の差はあれ人災と捉え,ヨーロッパのメディアは事故当初からその側面を日本のメディアよりも正確に報道しているようです。

9.11のあとすぐにブッシュ大統領は「これからはテロとの戦争だ」と宣言しました。「すべての国はテロと闘うか、テロの側につくか・・・」という二者択一を迫り、慎重な国連を無視し有志連合という形でアフガン戦争を開始しました。アフガン作戦は9.11の4~5ヶ月前から準備していたことが明らかになっています。当時もアメリカでは「パラダイム・シフト」が叫ばれていました。犯行の真相がなんであれ、世界が変わったのではなく、アメリカ・ブッシュ政権は世界を変えようとしたのでしょう。

「テロと闘う側かテロの側か」という踏み絵は、リトマス試験紙の役割をはたしています。周囲の国々を「参加かアルカイダか」と色分けし、「忠誠度」を試すものでした。しかし、アフガンに続いてアルカイダとは無関係のイラクを対テロ戦争の標的にした事で、産油国支配の分け前に与るかどうかの色分けという面も出てきます。

ブッシュ個人を見ると、その頭の中は湾岸戦争でイラク本土侵攻とフセイン打倒が出来なかったパパ・ブッシュに対し、出来が悪いと言われてきた息子がいいところを見せたいという、ひどく単純な意識がありそうです。世界は突然変わるのではなく、この場合は世界を変えたいと思う力があって変化し、決して唐突で不連続な転換ではないという事でしょう。

3.11でも「パラダイム・シフト」を言った人たちがいます。この言葉の正確な哲学的意味は、私にはよくわかりませんが、例えば「コペルニクス的転回」と同じような意味と考えていいのでしょうか。コペルニクスやガリレオはヨーロッパ人にとっては重要な意味を持っているのでしょう。キリスト教会に支配されていたヨーロッパの学問以外に、世界中の多くの地域に発達していた異なる学問や、地球上を広く移動していた人々の認識の遠い過去からの積み重ねの存在を考えると、地動説がパラダイム・シフトであると叫ぶことがひどく恥ずかしいことのように感じます。

3.11を契機に、突然世界中の人々の上に放射能が降り始めたのではないし、原子力発電の危険性が突然認識されたのでもない。大気圏内で行われた2000回以上の核実験の影響で私たちは癌の恐怖に今もさらされていますし、チェルノブイリ事故以後その影響で多くの人々が死に今も病気に苦しんでいます。巨大隕石が突然地球に衝突でもしない限り、世界は不連続的に変わる事などないでしょう。もっとも6,500万年前に隕石が衝突したとされた後、長い地球の歴史の中では一瞬のように見えても、人間の歴史に較べるとかなり長い年月をかけて地球上の生物の変化が起きたと思われます。隕石の衝突によってほ乳類が誕生したのではなく、その前から存在していたほ乳類が環境の変化に適応しながら次第の増えていったのでしょう。そういえば、「原発事故の可能性は隕石が衝突する可能性と同じ程度」と言っていた人たちが大勢いました。

話がそれましたが、小出裕章さんがしきりに「世界は変わってしまった」という背景には、長年こうなる事を予想し、警告し、この自体が起きないよう運動し続けてきたにもかかわらず、止められなかったという悲しみがあるのでしょう。

by maystorm-j | 2011-09-08 07:03 | 社会


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