2010年 06月 07日
昨日、私の住む町の国道でニホンジカが車にはねられて死んでいたようです(上の写真は6月4日早朝、上田・佐久地方から諏訪地方にぬける和田峠北の国道での事故写真です)。甲信地方では、ニホンジカが爆発的といえるほどの増え方で、農林業被害の他にもこのような交通事故が多発しています。写真の現場は、周辺に小規模の集落はありますが、環境としては山地であり、シカが道に飛び出してきても不思議ではないのですが、昨日の私の町の方は小学校の目の前で周囲に林や畑はありますが、どちらかと言えば市街地と言うべき環境です。 ニホンジカの事故はほとんどが夜間におきますので、なかなかよけきれないようです。イノシシやシカのような大型動物では、よほど頑丈なトラックでもないかぎりは、車の損傷も大きく、人身被害につながる可能性もあります。朝になってから国道を横断することが多い私の町のニホンザルの群れでは、児童の登校時間帯の事故には特に注意が必要になっています。 本来、生きている野生動物は法律上「無主物」(誰の所有でもない)という扱いのようですが、近年野生動物被害の増加にともない、行政が「保護管理計画」を定め、税金を投入して保護と管理をすすめています。絶滅が心配される動物の保護と同時に、増えすぎて生態系全体のバランスを壊したり、人間の生活を壊す可能性のある動物の個体数管理や生息域・生息環境管理は不可欠です。 無主物であれば事故の責任は当事者にあるという事でしょうが、行政が権限を持って管理する事になると、被害に対する責任問題が起きる可能性があります。例えば、絶滅の心配があるツキノワグマの場合、集落や農地に出てきたものを捕まえて、人間の恐さをいろいろと教えて山奥で放すという「学習放獣」が行われます。現状では対策の一つとして重要な方法ですが、同じクマが再度被害を起こす事も実際にあります。とりわけそれが人身被害だったら、微妙な問題に発展する可能性もあるでしょう。 地域全体の問題として、冷静な現状の把握、対策の検討と合意が必要になりますが、とかく野生動物問題に関しては、行政側の情報公開への消極性、「可哀想な動物」という愛護論、「殺してしまえ」という被害者感情、「山に餌を増やそう」という大雑把な運動などが交錯し、まだまだ試行錯誤の状態です。
by maystorm-j
| 2010-06-07 07:57
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